今シーズンの花粉症、ちまたでは厳しい予測がでています。
決意と覚悟を持って乗り切ろうと思っている人に当院から極意(ちょっと大げさですけれど)をプレゼントします。少しでもご参考になれば幸いです。
最近、症状の出る前から予防的に薬を飲み始めるという、予防薬という考え方は一般の方々にかなり浸透してきているようです。
しかし、当院ではもう1歩すすめて、症状の出る前、ごく微量の花粉もすわないように予防することを提唱しています。これにより身体の中での抗体の産生を少しでも抑えることができるのです。1月半ば頃から、外出時のマスクやメガネの使用をお勧めします。
外出時のマスクやメガネの使用、面倒ですし、かっこわるいですよね。しかし、だからといってマスクの着用などをしない人は症状が強く出ますし、面倒でもきっちりとつける人は症状が軽くなるということです。
これは極めて当たり前のことなのですが、残念ながらマスクやメガネを予防策として着用する人はそう多くはありません。しかし、声を大にしていいます、今年は実行してください、でないと、泣きを見ますよ。
例えば、これをしたら花粉が10%減るとか、これをしたから花粉が半分に減るとか、そんなうまい方法はありません。ほんの少しのことでも積み重ね、日頃の意識付けが大切なのです。
例えば、帰宅時、家に入る前に頭と衣服をポンポンとはらう、いかほどの効果があるでしょうか。そんなことは私にもお答えできません。
しかし、それを実行しない人と比べた場合、家に入る花粉の量は確実に減らせているはずです。目に見えない努力の積み重ね、これが大事。花粉を吸引したり、家に入ることを減らせそうなことは実行しまくりましょう。
家に花粉を入れないようにすることは1人の努力だけでは効果的ではありません。家族会議を開いて、どのようなことに注意すべきかをよく理解してもらった上で、全員の協力を取り付けましょう。
医者に行こうが、何をしようが、大量の花粉の前にはほとんど無力です。症状は出ます。しかし、せめて自宅では少しは快適に過ごしたい。でも、はっきり言って、家中から花粉を閉め出すことも不可能です。それで当院が提唱しているのが快適な部屋を作ろうという考え方です。せめて自宅の中に一部屋、花粉シーズン中でも花粉をほぼ吸い込まなくてすむ空間を作って、ひとときの安らぎ、駆け込み寺を作ろうということです。
その部屋の条件は、以下の通りです。
- 狭く、なるべくシンプルな形の部屋。
- 家具などが少ない。
- 人の出入りがほとんどない。
- 扉や窓を密閉に近い状態にできる。
このような条件にある部屋があれば一番いいのですが、現実、そううまくはいかないでしょう。まあ、一番マシな部屋を使うということでいきましょう。
その部屋になるべく家具や小物を置かないようにし、まず徹底的に掃除をしましょう。そして、花粉の侵入を防ぐため、窓や扉の隙間には目地をします。その部屋でできれば長時間過ごしたいわけですから、寝床にできる部屋なら寝具を、居間にするつもりならテレビなど、必要なものを入れておきましょう。その部屋に空気清浄機が設置できればなおいいでしょう。
そして、もう1つ、最後に大切なこと。その部屋への入室時のルールです。頭や衣服を徹底的にはらってからはいるようにします。できれば入室時の服装も決めておいた方がいいかもしれません。以上で、ほとんど花粉のない快適空間、オアシスがあなたの自宅に完成します。この部屋で数時間過ごすと、鼻の症状は比較的楽になってくるはずです。そして、長く、つらい花粉症のシーズン、このオアシスを心の糧に乗り切っていただければと思います。
一般的には、古くて長い使用経験のある薬から市販薬として認可されます。ですから現在の市販薬はかなり以前に開発された薬の成分を使って作られているのです。もちろん、古いからよくないというわけではありませんが、全般的な傾向として眠気の強いものが多いのです。そのため、市販薬の服用経験しかない人は何を飲んでも眠いと誤解されている場合もあります。
しかし、新しく開発された薬には眠気の少ないものが多く、医療機関の処方薬の中心になっています。ですから、忙しい方で市販薬の経験しかない人は是非耳鼻科医院を受診してご相談ください。
なお、逆に点鼻液の一部では、市販薬のほうがよく効くとして乱用している人を時に見かけます。これらのうちには、長期使用によってかえって鼻づまりをひどくするものもありますので、やはり薬局だけで薬を購入し続けるのはいいこととはいえません。
内科医院でも花粉症の薬を処方する場合は多いようですが、これはいかがなものでしょうか。一部の内科では2,3種類の薬しか処方していないため、患者さんは効きが悪く、眠気の強い薬を我慢して服用し続けるというケースを見受けたことがあります。
もちろん、これはあくまでも一般論ですが、内科の治療で調子がよくない場合には、耳鼻科でご相談してみることをお勧めいたします。
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