鼻腔粘膜焼灼術について
花粉症の症状でもっともつらいのが鼻づまりです。また、この鼻づまりが薬の治療で一番効きにくい症状なのです。この鼻づまりに対して最も有効な予防策が鼻腔粘膜焼灼術です。鼻腔粘膜焼灼術は、文字通り、鼻の粘膜を焼いて減量するという方法で、高周波メスを使う方法とレーザーを使う方法とがあります。当院ではより安全性の高い高周波凝固という方法を採用しています。
■ 正常な鼻粘膜と花粉症の鼻粘膜
正常な鼻粘膜の色はサーモンピンクです(図1)。図の白いところが空気の通り道ですから、白い部分の多い方が鼻のとおりがいいことになります。花粉症では粘膜がはれて空気の通り道が狭くなっています(図2)。そして、高周波凝固術では鼻粘膜の腫れた部分を焼いて減量し、鼻づまりを改善するのです(図3)。
■ 高周波凝固術の原理(図4)
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図4 |
高周波凝固術では図3の青い斜線の部分の粘膜を凝固します。粘膜のはれた部分を減量し、さらに粘膜表面が少し硬くなります。高周波凝固術で行っていることはまさにこれだけです。ですから、直接的な効果は腫れた鼻粘膜を減量することによる鼻づまりの改善だけなのです。しかし、このことが他の症状の改善にも結びつきます。
花粉症の症状の程度は粘膜から侵入する花粉の量で決まります。例えば、1cm2あたり10粒の花粉が付着するとしますと、粘膜の表面積が小さいほうが付着する花粉の総量は減らせます。また、先に書きましたように高周波凝固によって粘膜表面が少し硬くなり、このことが花粉の侵入を防ぐ効果もあるのです。つまり、腫れた粘膜の減量による表面積の減少と粘膜表面の硬化により、侵入する花粉量を減らし、くしゃみや鼻水を改善するという間接的な効果も見込めます。
■ 高周波凝固術を予防的に行う場合の適切な時期
スギ花粉症の予防として行う場合には、例年、1月下旬から2月上旬をお勧めしていますが、今シーズンはもう今からでも早すぎるということはありません。お近くの耳鼻咽喉科でご相談ください。
■ 方法の実際
手術日をご相談の上決定すると、血液検査を受けていただきます。
朝は軽食でご来院いただき、手術をします。所用時間は1時間程度です。 (手術日は月曜日、金曜日の午前です。)
手術当日の手順
- 局所麻酔をします(麻酔薬のついた綿花を鼻に入れます)15〜20分
- 点滴をします(止血剤と化膿止め、炎症止めが入っています)。
- 高周波凝固術をします。3〜4分。
- 点滴が終了し、出血のないことを確かめて終了です。
(出血のある場合は止血処置をします
手術についての詳しくは、
『老木医院 「手術について【鼻腔粘膜焼灼術】」』
をご覧ください。
■ ご注意
効果は50〜90%で、1回の治療では不十分な場合もあります。
全ての症状がなくなるわけではありません。
鼻閉などの症状は個人差が大きいのですが、数ヶ月から数年で再発します。
手術後1週間から10日は鼻づまりがひどくなり、手術前より調子が悪くなります。
手術後1、2週間してから鼻血がでる場合があります。
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