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減感作療法(特異的免疫療法)

例えばスギ花粉症の人に、症状が全くでないほど薄めたスギ花粉のエキスを皮下注射します。これを1、2週間に1回程度注射し、徐々にその濃度を上げていくのです。そうすると段々身体がスギ花粉になれて(これはとても曖昧な表現ですが、このメカニズムは非常に複雑なので、この程度に理解しましょう)、スギ花粉に対してアレルギー反応をおこさなくなります。アレルギー反応そのものをおこさなくするわけですから、効果のある人にとっては非常に優れた治療法で、薬を飲み続ける必要もなく、最も根本的な治療に近い治療法とされています。ただ、残念ながらいいこと尽くめではなく、いくつかの難点があるため、広く普及している治療法とはいえません。

この治療法の難点を挙げてみます。

  1. 皮下注射のために1年半から2年は1、2週間に1度の通院が必要になる。
  2. 有効率はおおむね7割程度で、効果の見られない人の割合が比較的高い。
  3. 注射の間隔が開いたり、エキスの濃度を上げる際に、ショックをおこす危険性がある。
  4. 一生涯有効ということはなく、症状がでてきたら、注射を再開する必要がある。
  5. 多種の抗原にアレルギーのある人(スギ、ヒノキ、カモガヤ、・・・)には適さない。

以上のような点、特にショックをおこすリスクを主な理由として、当院では減感作療法を行っておりません。また、最近では4、5種類以上の花粉に対してアレルギーがある人も少なくなく、この治療法を試みるのに適している人(スギだけの花粉症など)が現実にはあまり多くないこともその理由です。しかし、繰り返しますが、減感作療法が有効な人にとって、これほどいい治療法はありません。スギだけ、あるいはスギとヒノキだけの花粉症の方で、長年症状に苦しんでおられる方、そして通院を続けることができる方には、一考に値する治療法と思います。

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